2024.11.10. 日曜日
たしかに予報では雨が降ることになっていた。
でも、それは夕方になってから、とも聞いていた。それなのに、仕事を一通り終えて出かけると、空からはポチポチと雨が降り始めた。
一瞬で諦めた。予定が繰り上がってどんどん天気が悪くなるだろう、と思った。
女房と二人で小杉まで行き、買い物をいくつかしたあとに昼飯に九条ネギを使ったそば入りお好み焼きと餃子を買って帰ってきた。雨は降っていなかった。
食べ終わったあとはせっかくだから散髪に。たまたま誰も待っていなくてすぐに切ってもらえた。それはラッキーだった。ただ、まだ雨が降っていないどころか晴れ間が見えていた。なんだったんだ。
アマプラで公開していた「ルックバック」を観た。これは傑作だ。
劇場公開時に行こうとして行けなかったから、やっと観ることができた。「チェンソーマン」の藤本タツキ原作。押山清高監督作品。原作は作者がチェンソーマンの第一部を書き上げたあとに読み切り作品として発表されたものらしい。作者の自伝的作品とも評されている。
小学4年生。週一で発行される学校新聞に4コママンガを連載していた藤野さん。シャレやギャグの効いた4コママンガ。そりゃ絵は小学生のものだけど、まわりの生徒たちからは楽しみにされるくらいおもしろかった。
ある日、先生からマンガの枠を一つ譲ってほしいと言われる。不登校の生徒が書きたいと言ってきたという。同じ4年生の京本さん。翌週の新聞が配られると教室がざわついた。掲載された京本さんの絵は小学生レベルを越えていた。
藤野さんはいきなりマンガのうまい人の座から引きずり下ろされる。その日から絵がうまくなりたい一心で画力向上のためにほとんどの時間を費やすようになる。絵に関する教書を買い込み、スケッチブックにデッサンを描き続けた。
それでも結局自分の絵が京本さんに及ばないと自覚し、藤野さんは6年生のある日ぷっつりとマンガを描くことをやめてしまう。教書と書き溜めたスケッチブックはすべて処分した。それまでマンガのために我慢してきたことを取り戻すように、同級生とアイスを買食いしたり、家族でビデオを観て過ごすようになる。
卒業式の日。先生から京本さんの卒業証書を届けてほしいと頼まれる。藤野さんは断るが彼女の家に行くこととなった。呼び鈴を押しても反応がない。ドアは開いている。中に入ってそのまま玄関に証書を置いて帰らずに上がり込んで京本さんの部屋の前まで行く藤野さん。その部屋に続く廊下にはうず高く積み上げられたスケッチブックの山、山、山。
思わずその場で描いた4コママンガ(京本さんがシカバネになるオチ)がスルリと手から落ちて、ドアの隙間から京本さんの部屋に吸い込まれていった・・・。
マンガの天才・藤野さん。そして、その藤野さんがずっとライバル視していた京本さん。二人は卒業式の日に対面する。藤野さんにとってずっと脅威だった京本さん。その京本さんから「藤野先生のファンです(!)」と言われた。二人の出会いは藤野さんにとってとても意外でとても幸せなものになる。
いやあ、いいお話だ。お話もいいんだけど、とにかくアニメーションが繊細でとてもよく動く。背景もいい。雨の中大きくスキップしながらの家路。どんな風景に見えたんだろうか。
マンガを描いている人の内面がこうして作品に描かれていると、好きだけで続けられるような仕事じゃないんだろな、って思う。描かずにはいられなかったんだろうね。
いつも思うんだけど、漫画家にはお話を考えるのがうまくて絵もうまくないとなれないよね。どちらも兼ね備えるのって大変じゃないですか?今回はマンガと背景で才能を分けてた。藤本タツキ先生の意識なんだろうね。たしかにチェンソーマンの背景ってすごいバックのときがある。
藤野さんと京本さんは共同ペンネームでマンガを描いてデビューし、いよいよ連載を持てるまでになっていくのだけど、そこで二人は進む道を分けることになる。
出会いと共進。そして別れ。お話はとても哀しい別れに進んでいくのだが、それもまた創作の糧として先へと進もうとする藤野さん。
いいお話でした。
6746歩 4.0km 256kcal 19.6g